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「異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念」読了 [読書メモ]



フリー」で引用されていて面白そうだったので買ってみました。

タイトルだとゼロの話だけのようですが、ゼロと無限大は表裏一体なので、無限大についても同様に語られます。(ゼロの存在を認めると、 ある場所にゼロが無限大個存在することになり、無限大の存在を認めたことになる)
ゼロと無限大の概念の生まれた(そして生まれなかった)文化的背景から、ゼロと無限大を活用した微積分の絶大な威力、そして物理学でのゼロと無限大の概念が語られます。内容が非常に幅広く、キリスト教から超弦理論まで、文系理系関係なく非常に楽しめます。

まず発見だったのが、キリスト教にとってゼロ・無限大が受け入れられない概念だったということ。無限大が存在するということは、神や教会の支配が及ばない地域がある、ということになりますからね。なので、ゼロの概念はヨーロッパではなく、インドで生まれてアラビアに伝わったわけですね。
そして、ニュートンとライプニッツの微積分の発見。無限に細かく分解していくことで、「微分」の概念が生まれたのですが、ニュートンの計算式には「非常に小さいものを掛け算するともっと小さくなるので、無視してもいい」という部分がありました。この近似計算に目をつぶれば、微積分は様々な現象を的確に表すことがわかり、ゼロと無限の概念は科学の発展に欠かせないものとなりました。今は微分の定義はあいまいさが全く無くなっていますけども(巻末の脚注に定義の式が書いてあります)
物理学科を卒業しておいて言うのもなんですが、この本を読んで微積分の概念と重要さを今更ながら理解しましたw

そして、物理学のゼロと無限大の概念へ。現代物理学の基礎、相対性理論と量子力学を統合していくと、どうしても体積がゼロで質量が無限大の物質が出てきてしまう。でも、そんなものが本当に存在するの?と考えると、物質は9次元の「ひも」から構成されると考えると辻褄が合う、という「超弦理論」が出てきます。

ということで、ゼロの概念発生の科学史から、現代物理学まで非常に幅広くわかりやすく解説された本書、数学の知識が無くても楽しめますが、多少の知識があるといっそう楽しめると思います。
 
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